わたしはいい子。

アダルトチルドレンの30代独身女の雑記

初めて女性の相談センターにカウンセリングに来た日。

まだ、彼とは関係が続いていた。

 

彼の機嫌が直って、平穏な日々が続いてると思っても、急な夕立ちの様に、

怒り出す。どんな原因かも何年たっても予測できない。

怒るとまた、音信不通の期間が始まり、機嫌が直る。

2年で何度繰り返しただろう…。

 

その上、避妊もしてくれない。

私は生理が遅れるといつも心配になり、実家住まいなので、コソコソと出勤前に薬局に寄って、ファッションビルのトイレで、検査薬をした。

この不安感を彼が、理解してくれる事も、悲しいがこの先ずっとないだろう。

 

彼といててもプラスはない。

でも、好きという感情はあるので、離れることや、

30歳でまた独り身は怖かった。

 

そんな微妙な年齢で私は一体、こんな思春期の10代20代が抱える様な、悩みに振り回されている事にも憤りを感じた。

 

私の住んでいる区の建物の中にある様だ。

入ると、端に小さなピンク色の「女性の相談センター」と書いた窓口があった。

インターフォンを鳴らすして、「14時に予約したアメです。」と言うと、優しそうな中年の女性が対応してくれた。

 

その女性に個室に通されて、待っていた。

 

窓があり、陽の光がレースのカーテンから入り、置いてるインテリアもイングリッシュガーデンが好きな、私の母親世代がチョイスした様な、強いこだわりはないものの、温かみのあるインテリアだった。

 

少しすると、ドアがノックされて少し初老くらいの上品そうな女性が入ってきた。

「お待たせしちゃってごめんね、どうぞよろしくお願いしま〜す。」

 

私もよろしくお願いします、と会釈をし、

対面にカウンセラーの女性が座った。

ニコリと笑って彼女は続けた「アメちゃんていうのね、可愛いらしい方ね〜!今日はどうして来たのかな?」

 

私はやっと、自分の中で溜めていた言葉をわーっと放った。悲しい気持ちはなかった、それよりも、どうにか打開したい。そんな想いで話した。

 

家族に話しても、友達に話しても

「やばいやん!早く別れなよ。」

それしか返ってこなかった。それは分かっているけれど、出来ないから悩んでいるけれど、それ以上の答えはなかったし、もう心配をかけたくなかった。

 

その旨も伝えた。そしてやっとこの質問が出来た。

「私はどうしたら、いいですか?」

 

私の話に耳を傾けて、アラ…、それ辛かったね。と相槌を入れて聞いてくださった。彼女は真面目な顔をして、答えた。

「辛かったね。今まで自分だけで抱えていたのね。…アメちゃんが思っている通り、その彼氏さんといても、一生幸せにはなれないわ。どうやって行くかは私と一緒に、急がなくていいから、考えていきましょう。」

 

「はい、よろしくお願いします!」

私はなんでもよかった、少しでも望みがあるならすがりたい気持ちだった。

 

カウンセラーの女性は続けた

「私はね、臨床心理士という、民間の資格だけれど、専門性の高いお勉強をして、アメちゃんみたいな方のお話を何度も聞いてるの。私は、アメちゃんが自分の足でいつか立てる様に、頭の中で、散らばった考えを整理して、心理学的に言うとこういう事なのと、アドバイスして背中を押す役目だから。最後に色んな事を知って、その選択肢から選ぶのはアメちゃんです、でもね、どうにかしなきゃって思えてるだけ、素晴らしい事よ。そして、ここに来てる。凄いわ。頑張ってるもの、きっと彼がいなくても幸せになれる方だわ。一緒に頑張ろうね。」

 

そうなんだ、カウンセリングというのは、薬みたいに何も考えずに飲んでたら良くなるものではないのか。私がなおしたい、と思ったから、ここまで来れたのか。そんな些細な事を褒められて、嬉しかった。

「私、頑張ります!」笑顔で言った。

 

カウンセラーの女性はにっこりした後、少し悲しそうな表情に戻ってこう言った「沢山、あり得ないほど悲しい自分のお話をしているのに、アメちゃんはまるで、他人事みたいに、にこやかに話すのね。」

 

そう言われると、辛くて来ているが、辛い顔をして話す事はしろ!と言われても出来ない。何でなのかも全然分からない。

 

「心理学の言葉で、解離って言うんだけれどね、良かったら、少し調べてみるといいわ。」

彼女はそういうと、チラッと腕時計をみた。

私も時計に目をやると、あっという間に1時間が過ぎていた。

 

「また、次は◯月◯日の同じ時間にここで、いいかしら?また、今日お話出来てない部分もあるだろうし、更新もされているだろうから、聞かせてね。」

彼女はにっこり笑うと、私も笑顔で、お礼を言い、会釈をした。

 

帰り道は、今まで自分だけで持っていた時限爆弾が、一緒に持ってくれる人が出来た様な心強い感覚に嬉しく思った。

 

そして、さっきの解離という言葉を調べた。「辛い体験を自分から切り離そうとする防衛反応…」

私はそんなに辛い思いをしていたのか、自分じゃないと思うくらいに。

言われないと分からないくらい、そんなに、にこやかに話していたのか…自覚がなかっただけにショックだった。

 

もう、空は薄暗く、コートが必要な冬になっていた。そんな冷えた空気の中で、さっきの先生の言葉や反応を、頭で反芻しながら、家に帰った。

 

もちろん彼は、警察を呼んでから無視する期間に入っている。

連絡も気になるが、このまま、どうか終わりにできないものか。とも考える。

でもそれを想像するだけで、とても寂しかった。